『夢』
近頃は山の中でも携帯が繋がり、立ち止まって思わず仕事の長電話という
ケースもある。が、昨年も八幡平あたりでもそうだったように、この辺りは
あまり電波状態が良くないようだ。

「秋田駒ケ岳」の下りでザックの携帯に“電波が繋がらない時に着信アリ”的な
音が聞こえました。秋田新幹線「田沢湖」駅から着信があった店に電話すると

「M社長亡くなったって。土曜日の葬儀のことでご遺族や葬儀店から電話が
 鳴りっぱなしで・・」とちょっとパニックってる様子。
確かに近場に相談相手がいないと不安だし、仕事の段取りもあるので俺の不在は
母にとっては不都合だろう。

急遽帰る算段をした。座席指定2回分を残しておいて良かった。
(「大人の休日倶楽部パスは最高6回までの座席予約が可能)

帰りの東北新幹線「はやぶさ」が仙台駅辺りを通過するところでまた着信があった。

「列席する人数もかなり多くなるから、葬儀全体を市内の会場に移すことに
なったんでウチではしないからと今、連絡がありました」と。

ええ~、そんなこと言っても俺もう帰りの新幹線の中だし。
予定も全部キャンセルしたし~。別に帰って来なくてもいいし。
と今更言われても後の祭り状態。(;_;)

M社長(会長が正しい表記だが、長年“社長”と呼んでいたので“社長“とします)は
山間の集落に生まれ、大変苦労しながら会社を立ち上げ、一代で地元を代表する
会社を設立した“大物”です。体もデカイ。

ウチの店舗も建替えごとにM社長の会社にお世話になってきました。
ただし、長年のお付き合いも俺からすれば「大変怖い存在」だった記憶しかありません。
町村合併前は地元の土建屋がその土地の政治もつかさどっていた時代でしたし、
社長はある意味“政治家”でもありました。

かなり前ですが、地元に新規のゴルフ場を建設しようという会社の立ち上げた時に
竣工式をウチの店でやったのですが、その会合のやり方がずさんだったということで
社長からかなりお叱りの言葉を頂戴しました。(もちろん一生懸命やった結果だが)
翌日、M社長の会社まで出向き、陳謝してきたことを今でも鮮明に覚えています。

昔は地元商店も元気&勢いがあったので「俺はこれだけ商売してるんだ。俺はこんなに
お得意様を持ってるんだ」と鼻息が荒かったし、建設会社の社長自身も油の乗った時代
だったので、我々のような飲食店を上から見下すような時代だった気がします。

今でこそ会社の新年会や会合もさせていていただく機会も増えましたが、
疎遠な時期も長かったのも事実。

葬儀当日は朝から強い雨の降る生憎の天候でしたが、セレモニーホールでは
沢山の方が集まり、社長の偉業や存在の偉大さを感じさせてくれました。

大物ですから葬儀も長くなるだろうと予想していましたが、楞厳寺住職の有難い
読経、亡き社長との思い出を語った3名の弔辞、葬儀委員長の挨拶、遺族代表として
ご長男(現社長)の立派なお言葉がどれも心を打つ素晴らしいものでした。

石黒英進住職のお言葉に

「彼は『夢』という言葉を大事にしていました。あまり上手ではなかった
けれど、書を書くと必ず『夢』と書いたものです」

とお話されていましたが、俺にとってはちょっと意外。
社長は『夢』を追いかけるタイプではなく、現実重視の『リアリスト』な
イメージが強かったからです。

特に同級生で長年の旧友でもあったIさんの弔辞は、互の幼少の頃の思い出や
現在に至るまでを克明に鮮明に述べられているのを聴いて俺は涙が止まりませんでした。

社長との思い出は「叱られた。怒られた」が圧倒的に多い中、昔の観光協会の宴席で
社長に一杯酒を注ぎに回った時のことです。オヤジのネクタイを締めていた俺を見て

「オイ、オジ(次男の意)。お前若いがに随分渋いネクタイしてんねか~。
どら。俺のネクタイやるからこれ使え!」と社長がその時しめていたブルーの
ネクタイをほどいて俺に差し出しました。

「ありがとうございます。家宝にします。」と言ったかは覚えていないけど。

葬儀が終わって最後に社長の棺にお別れを言いに行きました。

「社長・・・。ありがとね。安らかに。」と語りかけると普段の仏頂面よりは
穏やかに見えたものの

「オイ!オッチャ(次男の意)」とまた叱られそうな気がしました。

外に出ると雨はさらに強く降っていました。ひとつの時代が終わったんだな。
そんな気がしました。




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by asobinin2006 | 2017-07-12 13:31 | 日々雑想 | Comments(0)

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